木の芽生え

病気・症状の玉手箱


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脱 腸(鼠径ヘルニア)

脱腸についての思いや雑感


脱腸侮るなかれという話。

おなかの下、左右の股のすぐ上辺りがぷっくりとふくらんできた。
「だいぶ脂肪がたまってしまったなあ!」と思っていた。
50才を過ぎた頃からである。

ぷっくりふくらんでプヨプヨしている。
風呂上がりなどに、面白がって家内や娘にいうと、
ある時「それ、脂肪じゃなくて病気なんじゃない?」といわれた。

何回かいわれて、いついつ病院に行きましょうという段取りになってしまった。
当人は至ってのんきに構えていた。
「脂肪に決まっているよな」
そのときは、まさか脱腸だなんてこれっぽっちも頭になかった。

病院の外科で診察してもらうと、
「鼠径ヘルニアですね」
即座であった。
「ヘルニア?ですか?!」

ヘルニアといわれて、つい腰のヘルニアを思い浮かべたのだが、
先生によると、臓器などが飛び出ることをすべて”ヘルニア”というのだそうだ。

鼠径ヘルニアとは、男子の場合は、
主に小腸が鼠径部(股の付け根)から陰嚢に達するまで脱出するとある。
要するに、”脱腸”である。
読んで字のごとく、脱腸は腸が飛び出るのである。

脱腸、あまり人に威張れない病気のような気がする。
「いやあ、脱腸にかかりまして」なんて・・・。

早速、脱腸の手術の段取りに入った。
「なあに、脱腸の手術なんてたいしたことはありませんから」
「そうだろう、脱腸といったって、せいぜい10センチ足らずを切るだけなんだから」
と思ったのが甘かった。
左右が脱腸になっているから、両側を切るのだ。

切って、小腸が出ないようにネットを入れるのだという。
なんと、50代も半ばであるが、手術は生まれて初めてである。
脱腸の手術であれなんであれ、なぜか、少しわくわくするような妙な気持ちだった。





脱腸の手術が始まる。
麻酔が効かない。
脊髄麻酔の注射を打ったのだが、時間が経過しても足の方にもはっきり感覚がある。
量的にこれ以上麻酔の注射をするわけにはいかないという。
見切り発車のような感じで手術を始めることになった。

大きい方の左側が無事に終わり、右側に移った。
メスを入れる感覚が直にわかる。
「イタッ!イタタタッ!・・・イタイです!」
刃物で切られているのがストレートに伝わってわかるのだ。
「痛いですか?我慢してください。すぐ終わります」

脱腸手術後の3日間は、痛みがすごくて大変だった。
ベッドから起きあがるにも、必死の覚悟である。
特に、脱腸を手術した日の夜中に小便をしたいのに痛くてどうしようもない。

当直の看護師さんが「管を刺して出しますか?」と聞いてくれた。
病棟で一番の美人の看護師さんである。
泣く泣くペニスに管を入れてもらった。

脱腸恐るべし。
脱腸といえども、立派な手術であった。
脱腸も、やっぱり切れば痛いのである。




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